【戒驕戒躁】(かいきょうかいそう)
驕(おご)らず、騒がず、慎んで静かに堅実にやりなさいということ。
この言葉は、前にも触れた僕が修業した店の社長から言われた言葉を、自分の座右の銘として日頃から心に留めている言葉です。
僕が修業したお店は、現在は社長の引退と共に閉店となりましたが、宇都宮でまだ周りに焼き鳥屋がない時代からあった【かしわ】という老舗の焼き鳥屋でした。
修業していた【かしわ】の社長は、口数も少ない静かな方でした。
こちらから聞かない限りは、社長からは何も教えない方でした。
自分もどちらかというと、すぐに聞くよりも、まずは自分で調べたりやってみて、それでも分からなかった時に聞くようにしてました。
そんな口数の少ない社長に、ある日突然聞かれたことがありました。
社長 『どんなお店にしたいの❔』
私 『正直、まだわかりません。』
修業中だったこともあってか、覚えることに集中していたので、そこまで全く考えてもいませんでした。
でも、その時に社長に聞いてみたい事がふと思いついたので質問してみました。
私 『社長は今まで長く商売してきて気を付けてることってなんですか❔』
その時に言われた言葉が
『自分のペースを崩さない事』
『自分のペースでいいから慌てずにゆっくり進みなさい』
社長はなぜこれを言ったのか。それは社長自身が過去に失敗した経験から学んだのだそう。
社長は『遠回りしたっていいから、遠回りしてたくさんの景色を見てきなさい。そして、決して驕らないで一つ一つ真面目に堅実にやっていれば時間はかかっても必ず結果はついてくるから、焦らない事』と。
最後に社長は、笑いながら
『慌てたって何もいい事ないからね笑』と。
この言葉が今でも自分の基礎となり、題名にもある
【戒驕戒躁(かいきょうかいそう)】です。
社長に『驕るなと』言われた時、社長らしいなと思いました。
社長は、肩書はどうでもいいらしく、社長の名刺を見ると・・・
肩書もなければ自分の名前すらない。
名刺には店名の【かしわ】と住所と電話番号だけ。
お店の社長はやっているけれども、【社長】って思われたくないらしく、社長らしくない社長がいいみたいで・・・
ちょっと無理があるなぁ。と思いながら聞いてました(笑)
でも宇都宮では有名なお店なのに、あまり前に出たがらない部分を見た時に、こううゆ所が長くお客様から好かれる、長く続けられる理由なのかなと思いました。
独立してから今まで、絶対こっちが近道だとわかっていても、あえて遠回りをする選択をしてきました。
ほとんどの人が絶対に近道を選ぶと思います。
でも、遠回りした方が時間はもちろんかかるけど、社長が言う通り色々な【景色】が見れます。
色々な景色を見ることで、それが【経験】となります。
そして、遠回りすると出会う数が違います。
もし近道していたらであわなかったかもしれない。
でも、ちょっと長く歩いたおかげで、素敵な【出会い】があります!
その出会いは、もしかしたら自分の考え方を見直すことが出来たり、良い影響を与えるキッカケとなる出会いになのかもしれません。
時間をかけ遠回りして色々な道を歩いてきた分、体力がつき【忍耐力】が養われます。
その忍耐力は、もしかしたら何かあっても、辛くとも慌てず冷静に対処できるかもしれません。
ここで上手く説明するのは難しいですが、遠回りしたら少しずつ意味がわかってくると思います。
僕もあの時、社長が教えてくれた意味は今ならよくわかります。
今こうしてゆっくりながらも続けていられるのは
【遠回りした道のり】があるから。
そして、その遠回りに一緒に付き添ってくれた
女将の存在。
女将がいてくれたから、長く険しい道のりも頑張れたのだと思います。
戒驕戒躁(かいきょうかいそう)
これを極めるには、これからもまだまだ遠回りする必要があります!
遠回りがいちばんの近道。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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